ココ色吐息

ジェットコースターロマンス

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タイトル、ジェットコースターロマンスは、かの名曲でございますが、本題とキンキは関係ありません(笑)
本題は写真の通り、夢野久作『犬神博士』と、安部公房『箱男』

長編は苦手で時間がかかる、と言い続けているだけにやはり時間を要しましたが、それでも私にしては早い方じゃないかしら。
だいたい、気に入った作品だったり自分だけの解釈だけではなく他の見解も知りたい時など、検索をかけて掘り下げたりするのだけど
(でもPCは疲れるので、ちょこっとしか探しませんw)
そこで犬神博士についてジェットコースターのように、と表現されていたので納得していたら、
瞬時に「ジェットコースターロマンス」が脳裏に再生されたもので(笑)引用させていただきました。

どちらとも、物語の画がジェットコースターのように目まぐるしく展開していくのです。
だけど、ロマンスではないしなあ、と思ったのだけど、感銘を受けたからこそ敢えて若干の皮肉を込めてロマンスもありで(笑)


「犬神博士」は、書かれた時代も古ければ、舞台は北九州、主人公は大道芸人の少年。
ネットでちらっと見てみたところでは、暫く絶版になっていたらしく、差別用語もバンバン飛び出します。
当然、スラスラ読めるわけもなく、スマホの辞書が欠かせない(笑)
辞書でも載ってない言葉も多く調べながらの読破は時間かかりました。

前半も展開は激しいのですが、特に後半の展開のスピード感のが激しいかも。
中間にいくまではまだ主人公やその周辺の登場人物、環境が刷り込まれてなかったのが、
後半に進めば進むほど疾走感は増して、読み手の自分までもがその中に入り込んでしまった気になってくる。

一人の少年があるがままに生き、あるがままに行動しているだけなのに、不思議なほど人を惹きつけていく。
《超能力》とまで言わしめて、大の大人たちを平然と動かしていくのが痛快。
時に窮地にも陥ってハラハラもさせられるけれども、主人公の動じない語りぶりに肩透かしを食らうよう。
万事うまくいったように思えたと思いきや、子供の些細な思いつきによって大変な事態にまで発展してしまう。

物語は成長した少年が、その幼少期に活躍してみせた武勇伝のようなものを語る形式で進むけど
結末は唐突に訪れて、しばらく途方に暮れてしまった(笑)

でもそれでも不思議とその結末に首肯してしまう。何も理解できていないような気もするのに、なるほど……と呟く自分がいる。

謎めいた世界観でも読んでいる側を惹きつけるところが夢野作品の魅力なんだろうなあ。と思ってみたり。
この作品で、後半に「ドグラマグラ」というフレーズが出てきていたので、夢野作品に魅了されているならば
やはり『ドグラ・マグラ』には着手せねば……? と些か義務のようにも思えてまいっております(笑)


さて一方、安部公房「箱男」 こちらもまた夢野作品とは違うベクトルで謎だらけの迷宮小説。

安部公房の作品もまた特殊なので興味深く、以前「砂の女」を読んでハマったんだけど、これはすごかった。
ほぼ一日で読み終わり、娘の相手も放り出して齧りついてまでひたすら読んでしまったのだから珍しい。
でもそのくらい「砂の女」は面白かったし、あまりの巧妙さに途方に暮れて(途方に暮れてばっかりw)
もう言葉を失ってしまいそうでした(笑)北島康介じゃないけど、「なんもいえねえ」って状態でしたよ(笑)

で、これまた「箱男」は更に難解。どう説明したらいいのかも解らない。何がなんだかわからない(笑)
簡単なあらすじだけご紹介すれば、主人公はダンボールを頭からすっぽりかぶって都市を徘徊する男の話。
そのうち、贋箱男が登場したり、ある看護婦との恋愛が描かれたり……。
本の裏表紙に書かれたあらすじだけで、一体何なの、と興味を惹かれる方も多いと思うんだけど(私もそうでした)
箱男なんてオモシロソーなんて軽い気持ちで読み始めた自分をまず恥じ、憂いました。

何なんだろう。何なんだろう、この物語。

「砂の女」の時も思った、荒唐無稽なのに、ところどころちりばめられたリアリティ。開けてはいけないパンドラの箱のような小説……。

元々ね、安部公房の名を知ったのはグレイプバインの田中君が好きな作家だとずっと前から公言してたから。
物凄く田中君が好きなので、リスペクトした挙句読もうとしたんだけど、
十年くらい前は活字がてんで駄目だったのでまるで読むことができず挫折したような気がする。

田中君が過去、雑誌連載していたのを書籍化した本で安部公房について書いていたんだけども
そこに「おれにはこの文章を面白くする自信がなくなってきた」とあって、毎回笑っちゃうんだけど、わかるよ(笑)

安部公房に限らず本の感想を書く度に、これ以上語るのはもはや恥ずかしい、と何度となくお蔵入りになってます(笑)
そしてやはりこれ以上、うまいことは書けそうもありません(笑 書けたこともないけどw)

でもやっぱり夢野久作も、安部公房もまだまだ知らない作品は多々。これからも読むと思います。
そしてまた、途方に暮れるんでしょう……。いや、もしかして私は途方に暮れたい、のかも……?
君をさらいたい、いいだろ~だしね……。(無理矢理)

よし、今度カラオケ行ったら、ジェットコースターロマンスは歌っておくことにします。
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by koco_hinata | 2012-11-23 23:26 | book